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リビア(政治・経済)


王制崩壊後,立法・行政の最高機関である革命評議会通常の議会にかえて全人民会議が樹立され,元首は明文規定はないがカダフィ大佐が最高指導者として実権を握っている。1977年に「ジャマーヒリーヤ」を入れた国名に変更した。「ジャマーヒリーヤ」とは「人民共同体」とも訳すべき言葉である。カダフィ思想によれば,リビアイスラム教を基本に,政府も議会もない人民の直接支配に基づく直接民主主義の国だとする。そして大佐が革命思想について書いた『緑の本(グリーンブック)』に基づき国家建設を進める。これを明確にするため77年には人民主権確立宣言を行っている。その一端をうかがわせるのは,リビアが各国に置く大使館を,人民を代表する機関という意味から「人民事務所」と改称したことである。80年代にはチャドなどへの軍事介入,パンナム機爆破事件などで,テロ支援国家であるとして国際的非難を受け孤立感が高まったが,99年ごろより態度を軟化させ,パンナム機事件での遺族補償問題の解決,民主化の推進,大量破壊兵器計画の廃棄などを行い,2003年国連制裁が解除,国際社会への復帰が急速に進んでいる。こうした動きを受け,米国は04年対リビア制裁の解除およびテロ支援国リストへの掲載などの一部を除き,関係正常化急速に進んでいる経済面では,60年代の初め頃から石油が増産されたが,92年以降は国連の経済制裁により停滞,99年の制裁停止から経済の開放を図っている。今日では世界有数の産油国で,その石油収入により国の予算と大規模な開発予算がまかなわれている。




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「世界各国要覧」
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