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桜なべ みの家
【さくらなべ みのや】


明治情緒の店が伝える下町の味

桜なべ みの家

看板の馬肉は、寒くて水がよくて馬の肥育に最適の、青森県やカナダの契約牧場から生で送られてくる。肉は骨つきのまま冷蔵庫で2~3週間熟成。桜なべにも肉さしにも、いいころ合いに取り出して丁寧に下処理した、最良の肉を用いている。

燐青銅製の特注の鍋に思わず期待がふくらむ桜なべは、八丁味噌と江戸甘味噌を独自にブレンドした味噌で煮る。肉は色がさっと変わって、中がまだ生くらいが食べごろ。食べずにおくのは惜しい腹脂は、熱が通って縮んでもやわらかく、さっぱりと甘い。品書にコース料理はないから、なべのほか焼とうふや生玉子、ご飯などもそれぞれ単品で注文する。

明治30年(1897)当地に創業し、現在は5代目の永瀬守さんと弟の富男さんが下町の味を守る。客に木場の職人が多く材木をけちっては笑われるからと、随所にケヤキやクスノキの巨大な一枚板を配し、総花梨造りの個室まである昭和29年築の建物は、平成18年の耐震工事後も当時の姿のままに健在だ。




東京書籍
「東京5つ星の肉料理」
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