ワールド・ミュージック
world music
音楽学では世界中の音楽を指す言葉だったが、1987年にイギリスの音楽業界が、アジア、アフリカ、中南米などのポピュラー音楽、古典音楽、民俗音楽を総称する言葉として使い始めてから、後者の意味で広まった。欧米の音楽でも民謡色の強いものはここに含まれる。90年代以降は交通や通信の発達で、特定の地域や民族の枠を超えた異なる音楽間の交流も急増している。ワールド・ミュージックという名前ができたことで音楽が流通しやすくなった半面、範囲の曖昧さの問題点も残った。例えばアメリカや日本ではフランスのシャンソンはワールド・ミュージック扱いだが、フランス人は誰もそう思っていない。音楽が経済先進国の聞き手の好みに合わせて改ざんされがちという批判もある。類似の言葉としては、欧米のポピュラー音楽寄りに使われるルーツ・ポップ、ルーツ・ミュージックがある。
| 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14849334 |