沈み果つる 入り日の際(きは)に 現はれぬ 霞(かす)める山の なほ奥の峰
【しづみはつる】
〔〔和歌〕〕〈風雅・春上・二七・京極為兼(きゃうごくためかね)〉
[訳]「沈み切ろうとする入り日の、その入り際(の夕焼け)に現れたことだよ、かすんでいる山のさらに奥にある峰が」
<参考>「際」は何かの終わるところ、境目の意。一瞬の間、夕日の最後の光に照らし出される遠景の峰を、主観的な語を使わずにとらえる。「際」を空間的なものととり、入り日の輪郭に、とする説もある。
| 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5085058 |