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太平洋炭鉱
【たいへいようたんこう】


釧路市にある炭鉱。道の代表的なビルド鉱で,太平洋炭礦株式会社が経営。海底炭を機械採炭し一般炭を産する。春採~興津に位置し,釧路埠頭へ送炭し,石炭専用船を活用することから輸送コストは低い。昭和56年の出炭は245万t余,以後240万t体制を今日まで確保するが,円高による輸入炭の価格低下などで課題も多い。大正9年三井鉱山(別保)釧路鉱業所と木村組炭鉱が合併して成立。初代社長は木村久太郎で,木村系持株7割,三井系3割であったが,昭和3年頃に別鉱山の経営不振で完全に三井鉱山の持ち山となり,第1斜坑・第2斜坑・第3斜坑(桂恋)の深部採炭を開始。開坑時に春採・別保に変電所を設置し,同10年以降各方面に電化を進め,載炭機・電機ドリル(坑内)の使用に加え,削岩機(坑進掘進)とラジアラックスを併用し出炭量を増加した。昭和3年にはシェーカコンベアー・局扇シーメンシュロット(機械電気)を採用し,坑内灯もエジソン電気安全灯を坑内全域で使用。選炭ではジッカー水洗機,坑外への素炭運搬はエンドレスを導入した。大正9年には18万2,000t(春採・別保の両坑計)であったが,同14年には20万t,昭和4年には30万7,000tに達した。炭山市街が春採元山(下町)に形成された。第2次大戦中,坑夫の九州への強制配転で保坑となったが,戦後再開された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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