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阿蘇郷(古代)


平安期に見える郷名最上郡のうち「和名抄」にいう最上郡八郷の1つ(刊本は14郷を記すが,6郷は村山郡郷名と重複するので,郷数は高山寺本に従う)高山寺本では阿蘓と記す慶長13年10月26日の日付のある立石寺根本中堂鰐口銘に「羽州最上安曽郡成生庄宝珠山立石寺」とある(県史15下)成生【なりう】荘の位置する地域が安曽郡と称されていた安曽郡と阿蘇郷とは直接つながらないが,前者に後者の遺名を見出すことは可能であるさらに,立谷川の古名は阿蘇川であったこと,山寺立石寺も創建当時は阿蘇川院と称されていたこと(河北町の歴史),宝光院知行地の七浦・漆山(現山形市)を阿蘇郷成生荘の内としていたこと(山形市史上)などより推して,阿蘇郷を立谷川流域の扇状地に比定することが可能と思われる東は奥羽山脈,北は立谷川扇状地北部,西は最上川,南は村山高瀬川にわたる範囲と推測される北を芳賀郷,南を那可郷と接していた「地名辞書」では,当郷を現在の山形市の南西部,須川の西岸の大字長谷堂・柏倉・松原の一帯に比定しているが疑問が多い郷域には古刹山寺立石寺がある平安後期,当郷の行政単位としての機能は終わり,さらに,この郷を中心として,立谷川より北には成生荘が,以南には大山荘が成立していったと思われる




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「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7261617