経営ヒント格言 5.ビジネスに向き合う姿勢 36 「おもしろおかしく」 【名言・格言者】堀場雅夫(株式会社堀場製作所創業者)【解説】 堀場雅夫(ほりばまさお)氏は、1924年、京都府に生まれました。京都大学在学中の1945年、堀場無線研究所(現株式会社堀場製作所。以下「堀場製作所」)を創業しました。堀場製作所は、測定器やコンデンサー(蓄電器)などの製作を手掛け、1950年には国産初のガラス電極pHメーターを完成させました。その後も堀場製作所は高い技術力によって数々の測定器を開発し、現在では、自動車の排ガス測定装置において世界でも高いシェアを占めています。 冒頭の言葉は、「何事であっても、おもしろいと思って積極的に取り組むことが重要である」ということを表しています。 堀場氏が大学在学中に起業した、いわば元祖学生ベンチャー企業ともいわれる堀場製作所は、前述の通り、現在では世界的な大企業となっています。しかし、堀場氏は、今もベンチャー精神を失っておらず、「規模が大きいことが、企業にとって必ずしもよいとは限らない」といいます。企業にとっては、規模よりも、効率的な企業運営・世界トップクラスの分析技術・創造性に富んだ組織のほうが重要であり、堀場製作所は、これらを実現するために「おもしろおかしく」を社是としているのです。 「おもしろおかしく」は、単に「気軽に気楽におもしろく過ごす」という意味ではありません。そこには、仕事に対する積極的な取り組み姿勢が表されています。一見つまらないように思える仕事であっても、「おもしろい」と思うことで熱心に取り組むことができるようになります。その結果、その仕事に大きな満足を得て「おかしく」なるのです。 堀場氏は次のように述べています。「何でもやってみたら、世の中でつまらないものなんてほとんどありませんよ」 物事を「おもしろい」と思うためには、徹底的にやり抜くことが必要なのです。とことんまでやり抜くと、どんな仕事であってもやがておもしろくなります。堀場氏の有名な言葉として「イヤならやめろ」がありますが、これは「イヤになったらすぐにやめろ」というのではなく、「イヤになるまで徹底的にやってみろ」ということを表しているのです。 仕事は、人生の中でも多くの時間を費やす重要な存在です。仕事に対してプライドとチャレンジ精神を持ち、「おもしろおかしく」取り組むことによって、人生の満足度を高め、人生そのものを「おもしろおかしく」過ごすことができるといえるでしょう。【参考文献】「おもしろおかしく」(堀場雅夫、中谷彰宏、メディアワークス、2001年8月)「私の履歴書 経済人29」(堀場雅夫、吉野俊彦、中山善郎、賀来龍三郎、佐治敬三、日本経済新聞社、2004年6月) (c)日経BP社 2010 日経BP社「経営のヒントとなる言葉50」JLogosID : 8516431