石川村(近世)
江戸期〜明治22年の村名。津軽郡平賀庄のうち。弘前藩領。元和年中御家臣姓名大概の83騎のなかに「二百石 石川村勘助」と村名が記され,また寛永17年の津軽百助宛3代藩主津軽信義黒印知行宛行状にも当村名が見える。「永禄日記」「平山日記」によれば,慶長15年に始まった弘前城築城に際し,関山・蔵館山とともに当村の山辺からも普請用の材木を切り出したという。村高は,「正保高帳」505石余(うち田方466石余),「寛文高辻帳」505石余,「貞享4年検地水帳」1,318石余(田1,156石余・畑屋敷161石余),「寛保高辻帳」505石余,「天保郷帳」1,333石余,「旧高旧領」1,424石余。集落は羽州街道沿いに発達する。「慶安2年道筋帳」によれば,小道として当村の大道(羽州街道)より金ケ崎村を経て三目内村へ至る道筋と,当村の大道より岩館村を経て東根小道(乳井通)へ至る道筋が記されており,それぞれ「石川大道より金ケ崎村迄五町十間」「石川村大道より岩館村迄五町」と見える。貞享2年,弘前城下から堀越村を経て当村へ至る羽州街道の道筋は往来が差止めとなり,新たに小栗山村を経て当村へ抜ける街道がつくられた(津軽歴代記類)。寛文11年には村内の桔梗長根において,足軽の鉄砲の稽古が行われており,同地は操練場となっていたものと思われる。「貞享4年検地水帳」によれば,小字に「岸田・冨岡・村本・川原田・平山・平岡・野崎・種取・平野」があり,反別は田113町9反余・畑屋敷40町9反余(うち屋敷4町余)の計154町9反余,このうち田は上々田から下々田まで,畑は上畑から下々畑まで設定されていた。ほかに開発場として田畑34町6反余,鷹待場とされる留林1か所,古館7か所があり,漆木は582本。このうち古館は石川城跡などを指すものと思われる。元禄3年には大鰐組に属し,村位は中(平山日記)。水利は主として平川から取水する十右衛門堰・亦右衛門堰を利用し,村内の8町1反余が両堰の恩恵を受けた。また当村で平川から取水する法楽堰は,当村と堀越村合わせて26町4反余に利用された(県租税誌)。村内の寺社としては「貞享4年検地水帳」に行人の立海坊がおり,正福院抱えの観音堂と毘沙門堂があった。また「国誌」によれば,明治初年当時八幡宮と清浄庵がある。このうち八幡宮は現在字寺山にある八幡宮を指し,祭神は誉田別命,相殿として明治6年村内から遷座した熊野宮を祀っていた。旧村社。清浄庵は蔵館村大円寺末庵で宗派は古義真言宗,本尊は阿弥陀如来,慶長年間見海が草創したというが,これは現在字大仏にある曹洞宗大仏院を指すものと思われる。明治4年弘前県を経て,青森県に所属。同11年中津軽郡に属す。明治初年の戸数138,村況は,土地は中で,農業を専業としていたという(国誌)。同7年宿川原小学石川分校を発足,同10年独立して石川小学と称し,学級数は2,生徒数は53。同校は同18年大沢小学・森山小学を合併し,大沢季節分校を開設,同19年石川簡易小学校と改称(県教育史)。明治12年の「共武政表」によれば,戸数152・人口919(男492・女427),馬105,物産は米・糯米・大豆。同22年石川村の大字となる。
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(C)角川日本地名大辞典「旧地名」
JLogosID:7250139
最終更新日:2009-03-01