小里郷(中世)とは-辞書辞典解説@JLogos

小里郷(中世)

　南北朝期～戦国期に見える郷名｡常陸国久慈東郡のうち｡延元元年8月26日の相馬胤平軍忠状に｢(建武4年)同(8)月廿二日佐竹石河凶徒等,引率多勢相向之間,久慈東小里郷内自西山手一族相共馳向｣と見える(相馬文書/大日料6-2)｡応永31年4月26日の足利持氏御教書写に｢常陸国小佐都郷〈佐竹尾張守跡〉同国町田郷〈佐竹刑部大輔跡〉等事所充行也｣と見え,白河結城氏の一族小峯朝常に充行われている(小峯治部左衛門文書/家蔵文書)｡正長2年8月23日には足利持氏が大山因幡入道に7月11日の｢佐竹小里｣における合戦の忠節を賞している｡文亀3年8月12日の小峯朝脩寄進状写によれば,｢常州小里村内もゝとり之地といふ在家一間｣が八槻都々古別神社に寄進されている(八槻文書/県史料中世Ⅱ)｡小峯氏は白河結城氏の一族であり,白河結城氏は隣接する陸奥【むつ】国依上【よりがみ】保を所領としており,当地も支配下に入ったのであろう｡そのため,白河結城氏と佐竹氏はたびたび対立したものと思われるが,永正7年の白河結城氏の内紛以後当地は佐竹氏の支配下に置かれたと思われる｡天文11年と推定される6月16日の小祝元泰･石井清定連署状写によれば,佐藤弥太郎が当地における戦功を賞されており(佐藤秀信文書/家蔵文書),戦国期と推定される年未詳12月13日の北義憲書状写にも｢於小里陣御辛労候条,令悦喜候｣と見え,平戸国幹が当地に出陣しており(石川氏文書/県史料中世Ⅱ),｢佐竹白石系図｣の義盛の項には｢常州於小里陣討死｣と見える(続群5上)｡｢堯雅僧正関東下向記録｣によれば,元亀3年正月7日に京都の三宝院の僧堯雅が当地の隆真院で印可を伝授している(三宝院文書/結城市史)｡年未詳6月11日の田中隆定書状写に｢小里へも四十貫文ﾆあたり可越申候｣と見える(石井忠正文書/家蔵文書)｡文禄3年の太閤検地を機に多賀郡に属す｡同4年11月9日の岩城領検地目録には多珂郡のうちとして｢一,千五百五十石二斗七升四合　小里上ﾉ村｣｢一,千百七十五石九斗九升三合　小里中ﾉ村｣｢一,八百五十四石八斗六升八合　小里下ﾉ村｣と見え,当地の石高は合計3,581石1斗6升5合であった(佐竹古証文)｡また,同日の岩城領小物成目録にも｢一,同(桑)七百六十弐本　此綿三貫百九十一匁　小里上ﾉ村｣｢一,同(桑)四百五十本　此綿壱貫八百九十七匁　同(小里)中ﾉ村｣｢一,同(桑)弐百九十三本　此綿壱貫弐十九匁　同(小里)下ﾉ村｣などと見える(秋田県立秋田図書館蔵/いわき市史)｡慶長7年と推定される10月6日の岩城貞隆書状写に｢一,小里ﾆこく千八百候由承候｣とあり,7月12日の佐竹義重書状写にも｢岩城へ正観こし候,小里まで送申候へく候｣と見える(家蔵文書/いわき市史)｡｢新編常陸｣には｢大菅･小菅･黒坂･折橋･大中･小中･小妻･徳田等八村,五千八百石余ﾉ地,皆古ﾉ助川郷ﾅﾘ,ｺﾉ村里ｽﾍﾞﾃ小里ﾄ称ｽ,但黒坂ｦ除ｸ,文禄物成帳ｦ按ｽﾞﾙﾆ,大菅･小菅･折橋ﾊ小里上村ﾄ云ﾋ,大中･小中ﾊ小里中村ﾄ称ｼ,小妻･徳田ﾊ小里下村ﾄ称ｾﾙ由,明ﾆ見ﾕ｣と見えるが,上･中･下村の比定には疑問がある｡現在の里川･上深荻を除く里美村全域および十王町黒坂を含む地域に比定される｡

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(C)角川日本地名大辞典｢旧地名｣
JLogosID:7272384
最終更新日:2009-03-01

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