椎尾郷(中世)とは-辞書辞典解説@JLogos

椎尾郷(中世)

　鎌倉期～戦国期に見える郷名｡常陸国真壁郡のうち｡弘安田文に｢椎尾国貞十丁三段,同貞則十八丁八段,同助貞十一丁二段｣と見え(税所文書/県史料中世Ⅰ),嘉元田文も同数値で記載(所三男氏所蔵文書)｡このうち助貞は,康永2年書写の鹿島神宮領田数注文案に｢椎尾助貞一丁｣と見える(鹿島神宮文書/県史料中世Ⅰ)｡元亨4年(正中元年)11月10日の真壁光泰具書渡状に,｢正続院候,常陸国椎火郷内宮山田地･屋敷具書等事｣と見え,翌正中2年12月25日の関東御教書にも｢常陸国椎火郷宮山村内田地壱町七段,屋敷弐ｹ所事,右任真壁女子平氏寄進状,可致沙汰｣とあり,当郷内宮山村の田地1町7反と屋敷2か所は真壁女子から建長寺正続院に寄進された(円覚寺文書/神奈川県史)｡建武元年11月16日の細川頼春奉書案に｢建長寺正続院僧子印申,常陸国宮山村田壱町七段･屋敷二ｹ所事,申状如此,宮山孫次郎背御下知,押領云々｣とあり,宮山村の正続院領が,真壁一族と思われる宮山幹氏に押領されたとの正続院の訴えを受けた足利直義は,小栗重貞と佐竹貞義に,押領を排除し正続院に下地を打渡すことを命じ,幹氏が承引しない場合は,所領の3分の1を没収することを命じた(同前)｡翌2年2月7日,佐竹貞義代某胤道らが宮山村に入部したところ,宮山幹氏は寄進者たる祖母が生存中は,寄進先の領主たりといえども干渉してはならないと反論し,下地の引き渡しを拒否している(同前)｡これに対し正続院側は,同年のものと思われる建長寺正続院雑掌子印三問状案に｢至于幹氏者,如傍例,為被処御教書違背罪科,重言上｣とあり,幹氏の所行を非難し,下地の即時打渡しを要求している｡裁許については未詳(同前)｡年月日未詳の常陸国椎尾領注進状断簡によると,応永18年,真壁郡酒依郷の｢こんかきほ□くわう｣と一家部類者7人は,年貢3貫150文などを対捍して｢しいのお方のりやうふん｣に逃亡し,｢た⊏⊐さし五とう二郎｣を宿としていたために,人返しの注進がなされている(覚園寺所蔵戌神将胎内文書/神奈川県史)｡永禄2年6月1日の真壁久幹充古河公方足利義氏書状に,｢名字之地廿余郷之事,尽未来不可有相違候｣とあり,戦国期は真壁氏の支配下にあったものと思われる(真壁文書/古河市史)｡

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(C)角川日本地名大辞典｢旧地名｣
JLogosID:7273958
最終更新日:2009-03-01

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