塙郷(中世)とは-辞書辞典解説@JLogos

塙郷(中世)

　鎌倉期～戦国期に見える郷名｡常陸国信太【しだ】荘のうち｡嘉暦4年4月27日の散位伊時請文に｢常陸国信太庄雑掌定祐申塙郷以下年貢之由事,以代官紹真可明申候｣と見える(東寺百合文書/土浦市史編集資料)｡信太荘雑掌に任命された定祐は鎌倉幕府に訴訟を起こし,北条得宗系の人たちがなっていたと思われる荘内各郷の地頭の年貢未進の状況を少しでも好転させようとした｡その1つであった塙郷の地頭は,越後左衛門大夫将監と称した北条氏の一族と思われる散位伊時であり,当時は紹真が代官支配をしていた｡元徳元年11月日の地頭代官良円の結解状には｢常陸国信太上条内五ｹ郷……正中二,嘉暦元･二･三以上四ｹ年結解事,塙,古来村,烏山,弘戸,土浦｣と見える(東寺古文零聚)｡信太荘の上条の中に含まれた5か郷の1つであり,正中2年から嘉暦3年までの4年間の年貢の収支決算に関して,地頭代官良円が荘園領主である東寺に報告している｡永享7年8月9日の常陸国冨有仁注文写に｢信太庄　塙郷　常祐入道｣とある(続常陸遺文)｡小野の逢善寺に残る檀那門跡相承資并恵心流相承次第の明応年間頃の学頭尊栄の条項中に｢小田千光寺覚尊ﾄ申人,本来ﾊ信太庄ﾊﾅﾜﾉ所生也,逢善寺門下ﾉ人ﾅﾚﾊ,蓮花院流ﾉ真言師也｣とあり(逢善寺文書/県史料中世Ⅰ),覚尊という僧が信太荘塙郷の出身であることを伝えている｡文禄の太閤検地を機に信太郡に属す｡

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(C)角川日本地名大辞典｢旧地名｣
JLogosID:7276058
最終更新日:2009-03-01

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