佐知川村(近世)
江戸期〜明治22年の村名｡足立郡植田谷【うえたや】領のうち｡古くは水判土【みずはた】荘に属したという｡江戸期を通して幕府領｡検地は元禄3年,荒川沿いの飛地八貫野【はつかんの】新田の検地は享保16年｡村高は｢田園簿｣で257石余,うち田13町7反余･畑34町余,｢元禄郷帳｣465石余,｢天保郷帳｣462石余｡化政期の家数96軒｡用水には恵まれず天水場といわれ,ほかに村の北西にある井戸尻耕地の余水を流す代官堀を用水としても利用していた｡紀伊徳川家の御鷹場支配を受け,鳥見役北沢甚之丞預り28か村の1つ｡天保年間には鷹匠や鳥見廻村費用を分担しあうため飯田新田など4か村と小組合を結成｡助郷は中山道大宮宿に出役｡正徳･安永年間には日光御成街道大門【だいもん】宿への当分助郷を負担｡用悪水22か村組合･荒川通28か村組合･悪水吐圦樋10か村組合などに加入し,用悪水路の維持管理にあたっていた｡文政11年から大宮宿寄場55か村組合に所属し,名主権兵衛は寄場小惣代をつとめていた｡村内は古来より上組･下組に分かれ両組に名主が置かれていた｡天保年間には質屋5軒があったが,ほかの農間余業は不詳｡主要道路は川越【かわごえ】道｡年貢米の津出しには荒川沿いの飯田河岸･平方【ひらかた】河岸を利用した｡鎮守は金山社｡神社は他に稲荷社･天神社など8社｡寺院は天台宗慈眼寺末の覚音院と覚蔵院｡前者は明和年間に,後者は安政年間に寺子屋を開設していた｡高札場は村の中央｡小名は上組･下組･八段目･領家･金山｡明治4年埼玉県に所属｡同9年の戸数94･人口505,馬18,荷車5｡二ﾂ宮村･遊馬村･土屋村に飛地があった｡物産は米･大麦･小麦･繭･白木綿･青縞など,ほかに製茶を行う｡同12年北足立郡に所属｡同22年植水【うえみず】村の大字となる｡
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(C)角川日本地名大辞典｢旧地名｣
JLogosID:7287563
最終更新日:2009-03-01