前野村(近世)
江戸期〜明治8年の村名。関ケ原の戦以後,大部分が長島藩菅沼氏領となったが,菅沼氏移封後は幕府領。また残余は稲葉内匠の領邑となったが,のち尾張藩領となる。さらに幕府領の一部は寛文年中に旗本芥見室賀氏知行地となり,江戸中期以後当村は幕府・尾張藩・室賀氏の3者に分属。「元和領知改帳」によれば,長島藩領1,032石余,稲葉内匠領173石余,計1,205石余。隣接する各務原台地の端々を新開して以後石高が増し「天保郷帳」の村高は1,241石余,「旧高旧領」では1,600石余。なお寛文年間に室賀氏に幕府領の一部が与えられた折の各所領は幕府領983石余,尾張藩領173石余,室賀領49石余。天明5年には幕府領と尾張藩領との間に地所争いが起こり,翌年幕府評定所の裁許により各所領の境に土塚を築造し境界を区切った(横山家文書・濃州徇行記)。村の戸口は文政7年に尾張藩領13戸・89人,文化7年に幕府領・室賀領合わせて109戸(那加町史)。幕府領で産する米は御膳籾と称し,将軍一家の食膳に上る米として籾のまま上納。鎮守は八幡神社。寺院は浄土真宗西本願寺派覚王寺・臨済宗妙心寺派済縁寺。明治2年村明細帳の戸数106・人口495。明治4年岐阜県に所属。同8年隣接する北洞【きたぼら】村と合併し前洞村となる。なお昭和54年,近世集落地域を中心に那加【なか】前野町として旧名が復活。
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(C)角川日本地名大辞典「旧地名」
JLogosID:7346696
最終更新日:2009-03-01