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- 郡家荘(中世)とは
「郡家荘(中世)」の関連ワード⇒ 赤田組(近世) 飯詰組(近世) 石浜村(近世)
日本地名大辞典に収録されているものの中から、現在以前のものを再編。
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| 郡家荘(中世) 鎌倉期から見える荘園名加賀国能美【のみ】郡のうち宝治元年12月１日の後嵯峨上皇院宣に，「勧修寺領加賀国郡家庄」とあるのが初見（経俊卿記／鎌遺6909）嘉元４年６月12日の昭慶門院御領目録に，安楽寿院領として「加賀国郡家庄，信忠僧正御年貢二万疋被寄多宝院」と見える（竹内文平氏所蔵文書／神奈川県史資料編２）また建武３年９月17日の光厳院院宣は勧修寺門跡領を安堵しているが，その目録に「勧修寺領加賀国郡家庄」と見える（勧修寺文書）したがって当荘は皇室領の安楽寿院領としてまず立荘された後，承久の乱で没収されて勧修寺領となり，いったん安楽寿院領として回復したが，再び勧修寺領として伝領されたと推測される当荘の所在地はかつて江沼郡とされていた（加賀志徴・荘園志料・郷土辞彙）しかし貞治元年10月21日の藤原盛家勝楽寺別当職寄進状に「加賀国群（郡カ）家庄任田郷」，あるいは宝徳３年８月日の長福寺寺領目録に「板津任田」（以上大徳寺文書）さらに永正元年５月３日の足利義澄御教書には，「勧修寺門跡領加賀国能美郡郡家庄」と見える（勧修寺文書）ことからすると嘉応３年２月日の散位中原頼貞譲状案に初見し（菊大路家文書），「天文日記」「知行申付」に勧修寺門跡領として登場する板津荘は郡家荘の別名であり，郡家荘は能美郡に所在したと見るべきであろう（北国新聞社版石川県の歴史，井上鋭夫：一向一揆の研究，浅香年木：古代地域史の研究）建仁元年７月20日の地頭某譲状案には，「西限郡家長野……北限郡家東吉光保」とも見え（菊大路家文書），郡家荘は能美郡家を中心に成立したとみられるなお，さきの光厳院院宣の目録には「郡家庄古府将軍被避進地頭職以来，寺家一円進止」と見え，勧修寺の一円進止領であることが知られるその後文和４年７月18日の足利尊氏御教書は守護の兵糧徴収を停止させており（勧修寺文書），応永17年７月20日の斯波満種遵行状では，守護不入地として二宮信濃入道なるものが郡家荘内の売却地に干渉することを禁じており（尾張文書通覧），応永18年10月27日の畠山満家施行状も，一円進止地として安堵している（勧修寺文書）「建内記」の永享３年３月10日条によれば，預所職の二松備前入道は「依逃散年貢無沙汰」と訴えているが，「満済准后日記」の永享３年９月15日条によれば，百姓の逃散は二松の責任としている二松備前入道永薫申状には預所職を解職された二松氏は，文安元年６月幕府に訴えて預所職の返付を求めたが（勧修寺文書），「康正二年造内裏段銭并引付役」では，「五貫文，安富勘解由左衛門殿，勧修寺門跡領加州郡家庄段銭」と見え，安富氏が預所職を得ているこの郡家荘預所職をめぐる二松氏と安富氏の対立はその後も続き，文明11年12月26日の幕府奉行人奉書は，「早退二松并安富競望」と，勧修寺に直務を命じている（勧修寺文書）だが勧修寺の直務は実現せず，しかも明応６年８月の勧修寺門跡雑掌言上状には，「預所職之事，安富新右衛門尉盛憲仁雖被預置，数年御年貢諸公事物等不致其沙汰」と見える（同前）百姓の逃散，預所職の競望とその違乱といい，勧修寺の支配は多事多難であった「知行申付」の天文５年４月20日条には，「従勧修寺門跡御領加州板津庄，当御知行候へ共無沙汰之由候……折紙御所望候」と見える（真宗教団開展史）一向一揆が定着するなかで，勧修寺や，一時代官として知行権を得た室町幕府申次衆の大館兵庫頭高信は本願寺に所領の保証を依頼せざるをえない状態にあった（天文日記）元亀元年10月15日の幕府奉行人奉書は，本願寺坊官下間頼充を代官となすという織田信長の執奏は事実にあらずとして勧修寺の直務を確認した（勧修寺文書）が，これを最後に勧修寺領郡家荘の名は未見寺井町の西部から根上【ねあがり】町の東部および小松市の北端部にかけての能美平野低湿地帯の北部一帯に比定される |
出典:KADOKAWA「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
