ケータイ辞書JLogosロゴ 北方村(近世)


島根県>五箇村

 江戸期〜明治37年の村名。隠岐国穏地【おち】郡のうち。江戸期は幕府領松江藩預り地,貞享4年〜享保5年は幕府領大森代官所支配地。貞享5年「隠州記」では村高201石余,うち田方16町余で173石余,畑方9町9反余で27石余,ほかに新田4石余で,家数62・人口327,牛92・馬49,手安船6・トモド船9。寺社は真言宗岩滝山横山寺・同嵩尾【だけお】山安養寺・同長谷山長福寺・禅宗津川山満泉寺・嵩大明神・美保大明神・谷川大明神・宮庭大明神・日尾大明神・岩山大明神・妙現大明神・八幡宮・氏神大権現がある。産物にワカメ・アワビ・サザエ・アラメ・ノリ・ブリ・イカ・タイ・トビウオ・シジミ・ハマグリなどがあげられる。「天保郷帳」の村高は224石余。牧畑は野越牧・奥長尾牧・長畑牧・黒島牧の4牧があった。明治元年「隠岐国村鑑帳」によれば村人は農間に薪を切り出し,出雲・伯耆【ほうき】・若狭・長門・越前に売り,串アワビを少しずつ仕出し,ウルシの実を近国へ売りに出た。女は野菜・海草を取り食糧とし,着衣用の布を織った。同4年島根県,同年鳥取県,同9年島根県に所属。「皇国地誌」によると,田37町9反余で,飛地として田5町3反余・畑9反余・山林77町余・切替牧畑9町6反余がある。戸数108,人口は男294・女270,雄牛16・雌牛97。福浦港があり,500石未満200石以上の船1艘と200石以下の荷船7艘をもつ。同港は日本海航路の寄港地で,1か年間に40艘が出入する。マツ・スギ・トドマツの板1万2,500間を移出し,米180石・塩80石・綿20貫を移入。物産はワカメ300貫・サンマ1,000貫・干アワビ100斤・サバ2,000尾・杉松椴間板2,000間で,若狭小浜【おばま】・伯耆境【さかい】・出雲松江・肥前長崎へ送っている。職業分類は,農業79・漁業10・船稼8・鍛冶2・工業5・商業2で,郵便取扱所と明治4年廃寺になった安養寺跡に小学校があり,男29人・女8人が通学していた。横山寺・満泉寺・長福寺も,同じく明治4年に廃寺。村社には八幡神社・白山神社がある。同34年の戸数135・人口670。明治12年に代【しろ】村と連合,北方村ほか1か村戸長役場を置き,同17年には苗代田【なわしろだ】・南方【みなみがた】・北方・代・久見【くみ】の5か村が連合して北方村ほか4か村戸長役場を設置。同37年穏地郡五箇【ごか】村の大字となる。
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(C)角川日本地名大辞典「旧地名」
JLogosID:7411713
最終更新日:2009-03-01




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