ケータイ辞書JLogosロゴ 吹屋村(近世)


岡山県>成羽町

 江戸期〜明治22年の村名。備中国川上郡のうち。「正保郷帳」に新田村として村名が記される。幕府領。村高は,「備中至宝記」75石余,「天保郷帳」「備中村鑑」「旧高旧領」ともに76石余。村内に吉岡銅山がある。銅山の歴史は古く,伝承では大同2年開坑であるが,南北朝期から採銅が始められたといい,戦国期には石見大森銀山と同様に尼子・毛利両氏の間で争奪戦が演じられた。江戸期に入ると当初は短期間で資本が交替したが,天和元年から住友が請負いとなり,その採掘量を飛躍的に伸ばした。しかし住友はやがて伊予別子銅山に主力を移したため,享保年間から地元資本が請け負った。一時期隆盛が持続したが,天明7年休山。のち再開したものの,幕末にかけては細々と採掘を続ける状態であった。しかし明治6年三菱が経営権を買収し,設備の近代化を図って再興した。村民の生活はこの中国地方最大規模を誇った銅山に結びついていたが,やがて隣村坂本村本山銅山の硫化鉄を使った弁柄生産も開始された。吹屋弁柄は焼物などの顔料として重用され,村を潤した。その経済力は村内に各問屋などの商家が軒を並べる街村をつくり,その町並みは現在に伝えられ,国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。寺院は曹洞宗若杉山延命寺。永正2年開基,文化13年再興。大正6年再建の雄大な山門が当村の経済力を伝えている。倉敷県,深津県,小田県を経て,明治8年岡山県に所属。同22年吹屋村の大字となる。
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(C)角川日本地名大辞典「旧地名」
JLogosID:7419228
最終更新日:2009-03-01




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