ケータイ辞書JLogosロゴ 笠島浦(近世)


香川県>丸亀市

 江戸期〜明治23年の村名。塩飽島本島のうち。天正18年「与島畠方名寄帳」に「かさしま」の地名が見える。幕府領(大坂町奉行・川口奉行・倉敷代官などの支配を経る)。村高は,天正18年検地182石余(田19石余・畑163石余),慶長11年検地193石余(田20石余・畑173石余),「天保郷帳」229石余。泊浦と並んで人名制の中心となり,4年寄のうち吉田彦左衛門が当村で島治にあたり,年番も泊浦と当村から出た。寛政年間の島治改革後は年寄が選出交替制となり泊浦の塩飽勤番所で政務を執ったが,当村の年番高島惣兵衛は寛政5〜10年に年寄職を勤めている。人名数は塩飽島650のうち78(古加子53・新加子25)と泊浦についで多い。水主役として御用を勤めるほかは幕府からの課税はなく,宝永元年塩飽島中納方配分之覚によれば,村高165石余から当村人名78人分78石のほかに吉田・宮本両年寄給51石余,年番給6石・専称寺領分3石・与島新加子分12石・生ノ浜新加子分10石などが支払われ,不足分3斗余が甲生浦より納められている。集落規模は宝永年間で城根が長さ150間・横115間,新在家が長さ150間・横55間(島々町歩/塩飽島諸事覚)。屋釜については寛文9年塩飽島中納方并配分之覚に畑高5石余と記され,すでに開発されていたことが知られる。延宝4年の家数170・人数1,259,船43(塩飽島巡見帳),正徳3年の家数206・人数1,020,船34うち150〜930石積8(塩飽諸訳手鑑),文政6年の家数148・人数551(笠島浦年番録年号記)。寺院は,当初6か寺があったが,正徳年間には本島20か寺院のうち4か寺となった。長徳寺・千手寺・地蔵寺は真言宗正覚院末寺。ほかは浄土宗専称寺。神社は,「宮ノ別当并社人所訳」記載の別当寺をもつ本島12社のうち2社(明神・天神社各1)があり,とくに尾上大明神社は社人の名もあげられている(塩飽島諸事覚)。西回り航路開設後,人名は廻船業に従事し浦は繁栄したが,江戸後期には廻船業は衰退,職業分化が進んだ。天保10年には当村から向島の間を埋め立て18万坪の畑を作る計画が立案されたが実現しなかった(笠島浦年番録年号記)。幕末,塩飽島民の優れた操船技術は幕府海軍に重用され,万延元年咸臨丸のアメリカ渡航に際して水夫4人が当村から出た。明治元年倉敷県,同3年高知県・倉敷県,同4年丸亀県・香川県,同6年名東【みようとう】県,同8年再び香川県,同9年愛媛県,同21年三たび香川県に所属。明治5年の戸数196(甲生浦と合計)のうち大工職74・農業57・船乗渡世25・漁業8・商業5・その他27。大工職は西日本各地の寺社建築などを手がけ塩飽大工の名を馳せた。同6年尾上神社境内に建てられた舞台は尾上座と呼ばれ,明治期年2回の地芝居が上演されていた。同7年(一説には明治5年)那珂郡に属す。同23年本島村の大字となる。
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(C)角川日本地名大辞典「旧地名」
JLogosID:7429275
最終更新日:2009-03-01




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