ケータイ辞書JLogosロゴ 大増村(近世)


長崎県>上対馬町

 江戸期〜明治41年の村名。対馬国上県【かみあがた】郡のうち。対馬藩領。豊崎郷に属す。寛永15年「毎日記」に「大ます」と見える。村高は,「寛文検地帳」12石余(県立対馬歴史民俗資料館蔵)。「元禄郷帳」「天保郷帳」「旧高旧領」にも村名が見えるが,村高は記載されていない。「津島紀略」には「大増〈於保麻須〉,在久須之南廿町,去府十八里一町」とある。元禄12年郷村帳(県史藩政編)によれば,物成27石余,戸数25・人数106(10歳以上),公役人17・肝入1・猟師11,寺1・社1,牛8・馬12,船4。また寺院は禅宗慈眼寺がある。貞享年間の神社誌には氏神の天台矢房のほか宗像・夷・荒神があり,宗像は佐賀村より勧請と記されている。慈眼寺は明治4年廃寺となる。同4年厳原【いずはら】県,伊万里県,同5年佐賀県を経て,長崎県に所属。「郡村誌」によれば,村の幅員は東西約15町・南北約23町20間,地勢は「北・西・南ハ山脈屏立シ,就中地蔵ノ後,畑島・尾梨等ノ諸山最モ高シトス,但東方浜渚ノ処自ラ低平ナリ,中央大増川ヲ帯ブ,運輸不便,薪・炭余リアリ」,地味は「其色赤,其質軽墳,稲・粱・桑・茶ニ適シ麦種ニ悪ク甘薯ニ可ナリ,水利乏ク時々旱ニ苦ム」とあり,税地は田5畝余・畑8町余・宅地1反余・山林77町余の合計86町余,改正反別は田3反余・畑21町余・宅地1町余・山林111町余などの合計134町余,地租は米1斗余・麦36石余,国税金は12円余,改正租金は77円余,戸数は本籍21・社2の合計23,人口は男68・女62の合計130,牛21・馬30,船6(50石未満艀船)。また,神社は村社の霹靂神社・高崎神社のほか宗像神社が鎮座,学校は佐須奈学区大増分校が設置され,生徒数は男14・女4,古跡として慈眼寺跡をあげ,民業別戸数は農業24・工業1,物産は米10石・大豆10石・大麦210石・小麦20石・蕎麦30石・甘薯6万斤・杉1,450本,ほかに厳原港へ移出するものとして干和布1,500斤・煎海鼠20斤が記されている。同24年の幅員は東西2町・南北3町,戸数28・人口147(男74・女73),厩24,学校1,小船30(徴発物件一覧表)。明治41年豊崎村の大字となる。
解説文を自分にメール
メアド:Milana@docomo.ne.jp

(C)角川日本地名大辞典「旧地名」
JLogosID:7447686
最終更新日:2009-03-01




ケータイ辞書 JLogosトップ