小川原浦村(近世)
江戸期〜明治22年の村名｡肥前国高来【たかき】郡のうち｡佐賀藩諫早領｡諫早郷に属す｡村高は,｢正保国絵図｣｢元禄国絵図｣｢天明村々目録｣179石余,｢天保郷帳｣240石余,｢旧高旧領｣320石余｡なお,｢旧高旧領｣では田原村を含んでいる｡給人･地米高は,｢玄梁院様配分帳｣｢大小配分石高帳｣ともに諫早豊前(諫早領)130石余｡当村と井崎村は室町期に他村から入植した人々によって開発されたといわれ,開発は当村が先行したという｡天正17年以来の水利協定(享保11年の井手分覚書)によれば,水の配分は当村が3分の2,井崎村が3分の1となっていた｡天保3年の諫早私領田畑石高帳によれば,田15町余･畑12町余･屋敷5反余で地米高130石余,ほかに出来田1反余･出来畑2町余で地米2石余,合計地米高133石余｡明治2年の人口421(男205･女216),竈数99(うち無竈5),作馬50,職業別人口は諫早家来1･諫早徒士3･諫早家来被官3･農103･大工3･桶繕1･竹細工1･家葺2･石工2･糀屋1･社人1･一向宗僧3･日雇稼17(男9･女8),宗旨別ではすべて一向宗の信徒であった(高来郡諫早郷小川原浦村竈人別其外改差出/九州大学九州文化史研究施設蔵)｡氏神は正和5年創建と伝える藤原神社で,祭神は天児屋根命,ほかに目島(女島)神社があった｡寺院は浄土真宗本願寺派浄真寺があった｡明治4年佐賀県,伊万里県を経て,同5年長崎県に所属｡同11年北高来郡に属す｡明治初年田原村を合併｡なお,｢北高来郡誌｣ではこの合併を明治11年のこととするが,田原村の名は,明治6年の管内願窺届指令留(県立長崎図書館蔵)に｢小川原浦村田原名｣と見え,同8年作成とみられる小学校取調書(同前)に｢小川原浦村字本村,
字田原｣と見えることから,同11年以前に合併していると考えられる｡明治6年小川原浦小学校が創立されたが,同11年井崎村の崎原小学校に統合された｡明治22年小長井村の大字となる｡
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(C)角川日本地名大辞典｢旧地名｣
JLogosID:7447717
最終更新日:2009-03-01