ケータイ辞書JLogosロゴ 小浜村(近世)


長崎県>小浜町

 江戸期〜明治22年の村名。高来郡のうち。島原藩領。西目筋に属す。村高は,正保2年「高力摂津守領分肥前国高来郡之内」(高力摂津守領分村高一覧)では日比浦・北村・羽毛合村・木指村の小村からなり1,055石余,宝永4年1,055石余,うち田454石余・畑601石余(島原様子書),「安永3年郷村帳」1,055石余,ほかに新田257石余,「天保郷帳」1,269石余,「旧高旧領」1,281石余。「島原様子書」によれば,島原へ千々石【ちぢわ】越7里14町,村内は木指・羽毛合・北野・日比の4名に分かれ,宝永4年の反別は田45町余・畑125町余,卯年(寛政7年)改の新切48町余(田1町余・畑47町余)・温泉新田10町余,百姓屋床地子免許反別9町余,米津出は当村浜から島原へ海路16里,農間余業は男は茅薪取,女は布木緬織,日比名・木指名には漁師がおり鯛・鰡・鰯・小肴をとる。また草刈場は4,500町程で千々石村・北串山村・布津村・深江村・隈田村入会,狼煙場・温泉湯本が各1か所あり,文政6年の家数2,230・人数5,090(男2,593・女2,497),牛56・馬559,鉄砲5。なお,日比名は延享2年に富津名と改称し,また羽毛合名も安政3年の小浜村様子書では本村名となっている。村内にある温泉は湯太夫が湯銭をとって入浴者の便をはかり,また温泉山には湯坪が1か所あり,小佐衛門が湯銭をとって入浴させていた。明治4年島原県を経て長崎県に所属。同11年南高来郡に属す。「郡村誌」によれば,村の幅員は東西約3里10町・南北約2里18町,地勢は「東方ニ高来山ヲ負ヒ地勢険隘,村里人家皆巌下ニ居ル,瀕海ノ地二里余ニ至ルト雖多クハ乱石絶崖,唯其低平ノ処ニ随テ漁業アルノミ,舟運便也,陸運不便,薪材足ル」,地味は「南方ハ赤土,北方ハ黒土,地味千々石村ニ悪ク,稲・粱・禾麦・甘蔗ニ宜シ,大豆ニ適セス茶ニ適ス,水利不便,田方往々旱損アリ」とあり,村内は冨津・北野・本村・木指に分かれ,税地は田56町余・畑226町余・宅地6町余・山林6町余の合計295町余,改正反別は田83町余・畑426町余・宅地32町余・雑種地2反余・温泉場2歩余などの合計542町余,地租は米481石余・金780円余,国税金は194円余,改正租金は2,678円余,戸数は本籍1,203・社14(郷社1・村社1・雑社12)・寺1の合計1,218,人口は男3,109・女2,927の合計6,036,牛360・馬427,船51(63石積荷船1・漁船50)。また,神社は郷社の筑紫国魂神社,村社の小浜神社のほか,鳴滝神社・冨津神社・八幡神社・清水神社・小田山神社・水原神社2・宗像神社・稲荷神社・若宮神社が鎮座し,寺院は真宗護真山光泉寺,学校は本村小学校(明治9年の生徒数は男47・女16)と木指小学校(同年の生徒数は男43・女11)が設置され,村の北に郵便局があり,古跡としては湯本古城址・日本山満明寺旧址,名勝として火山・屏風岩・菊銘石・弁天崎があり,民業は農業のほか商工業60戸・漁業20戸,物産は牛40頭・馬170頭を長崎・諫早【いさはや】・唐津へ,雞900羽・雞子4万顆・蜜200斤を長崎その他へ,櫨20万斤で蝋を製して馬関・大坂へ,椿子油20石を長崎へ,半夏200斤を大坂その他へ,烟草3,000斤を諸所へ,切干大根400石・氷豆腐40万顆を佐賀その他へ,乾鰯700石・鮗5万斤・鰡3,600斤を郡内や肥後へ出すなどと記されている。明治22年市制町村制施行による小浜村となる。
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(C)角川日本地名大辞典「旧地名」
JLogosID:7447766
最終更新日:2009-03-01




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