上田(中世)
鎌倉期から見える地名｡阿蘇郡のうち｡元徳2年2月23日の阿蘇社造営料木注文写(阿蘇文書/大日古13‐1)に｢一,金凝祝分｣の1つとして｢上田二本〈四宮〉〈長一丈五寸 口一尺二寸五分〉｣とあるのが初見｡南北朝期の正平7年2月吉日の阿蘇社上葺等次第(同前)では,｢一,二宮之上葺之分｣の｢裏之分｣を｢上田｣など4か所で負担していた｡また同18年閏正月25日の阿蘇社造営料木納帳(同前)には｢一,こみけた 一し かみたの分｣とあり,当地がこみけた1支を納めていた｡文明9年7月25日の阿蘇惟家置文写(満願寺文書/県史料中世1)には｢肥後国満願寺々領目録事｣の1つとして｢一所上田石田｣と見え,大宮司惟時の遺誡に任せて妨なきよう記している｡同16年8月28日の阿蘇十二社同霜宮最花米注文(阿蘇文書/大日古13‐1)では,｢同北里下宮ﾆ御寄進方之分｣の1つに｢上田之分｣とあり,にせ･しらたけ･よし本･かきのき･にし原･はうりその･しほひ河･むろ･な□のき･かくれ山の10か所が記されている｡このうち現在小国町上田に字仁瀬･西原･汐井川･室･柿木が残る｡下って永正14年5月2日の阿蘇惟豊宛行状(北里文書/県史料中世1)によれば,北里次郎左衛門尉(亮義か)に対して｢代々名字地(北里)六十町･堅田二町･室一町并為加恩上田三町･湯田三町三段｣を宛行っている｡
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(C)角川日本地名大辞典｢旧地名｣
JLogosID:7450964
最終更新日:2009-03-01