永吉郷(近世)
江戸期〜明治22年の郷名。薩摩国日置【ひおき】郡のうち。鹿児島藩永吉島津氏私領。外城の1つ。麓が郷士居住区で,村内の梅里にお仮屋が置かれた。慶長9年喜入摂津守忠続の子忠栄が佐土原島津家の跡をつぎ,鹿籠より永吉へ移り,永吉島津家となり,同17年より当郷を領した。それに伴い,当地へは佐土原と鹿籠から家臣の多くが移って来ることとなり,くじで居宅を決めたが,本田・高崎は佐土原に,長野は鹿籠に宅地を指定されていた(吹上郷土史)。当郷は永吉村のみの1郷1村で野町はなかった。「薩藩政要録」によれば,島津主殿私領,家中士惣人数889,家中士人体411,所惣高2,382石余,家中高930石余,寺社高107石余,用夫245・浦用夫14。嘉永4年では,島津主殿私領,家中士総人数790,家中士人体314,所総高2,377石余,家中高815石余,寺社高108石余,用夫310・浦用夫15(要用集)。「地理纂考」によれば,高2,365石余,戸数819,人口4,227,うち士族1,985・卒385・平民1,857。「県地誌備考」によれば,田121町余・畑241町余・宅地84町余・山林173町2反余・原野76町7反余・社地6反余・林32町8反余など,戸数893,うち士族466・平民427,人口4,694,うち士族2,513・平民2,181,牛268頭・馬278頭,船10艘。明治2年常備隊設置,小隊長が政務にあたった。同4年鹿児島県に所属。同5年伊作郡治所の管轄下となり,同12年日置郡市来【いちき】郡役所,同14年鹿児島郡鹿児島郡役所,同20年には日置阿多郡役所の管轄下となった。同22年永吉郷永吉村は単独で自治体となる。
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(C)角川日本地名大辞典「旧地名」
JLogosID:7462897
最終更新日:2009-03-01