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アラビアンナイト
【あらびあんないと】


シンドバッドやアラジンは、『アラビアンナイト』には出てこない

アラビアンナイト千夜一夜物語)』を子どもの頃に胸躍らせて読んだ人は多いだろう。中世イスラム世界形成されたこの説話集は、どれもが読み出したら一気に読めてしまう魅力にあふれている。『アラビアンナイト』というと、最初に『シンドバッド冒険』や『アラジン魔法のランプ』『アリババと四〇人の盗賊』などを思い出す人が多いことと思う。ところが、これらの『アラビアンナイト』の代表と思われている作品群は、実は同書には入っていなかったということがわかってきた。これは、一八世紀フランス翻訳者アンワーヌ・ガランの手によるところが大きい一六九〇年頃シンドバッド写本を手にしたガランは、一六九八年に翻訳を終えた。すぐさまガランは、アラビア語で書かれた『アラビアンナイト』の翻訳にとりかかる。しかし、どういう誤解からか、ガランはシンドバッドを『アラビアンナイト』の長大物語一部だと信じきって、三巻目に入れてしまったのである。アラジン関しては、勘違いというより、どうやら故意入れたようだ。四巻目のネタ切れに喘いでいたガランは、ハンナ・ディヤーブという修道僧と会う機会恵まれる。このディヤーブがアラジン話をガランに語ったらしい。このようにしてアラジンガラン版『アラビアンナイト』におさまった。このほかにもディヤーブは「空飛ぶ絨毯」など多くの話を知っており、そのうちの七つ収録されたようだ。アリババに至っては、ガランの創作ではないかとの説も有力である。フランス出版されると、この物語集は一大ベストセラーとなる。そして、今日まで世界名作一つとなって読み続けられているわけだが、日本では原典にない作品たちが最も知られ、愛されているといえるだろう。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820022