100辞書・辞典一括検索

JLogos

19

ウイスキー
【ういすきー】


普及したのは、ブドウの木につく害虫のおかげ!?

日本では昨今地酒ブーム日本酒焼酎ビールなど「おらが町」の酒がどんどん全国区進出果たしている。いまでは世界的有名なスコッチウイスキーも、実はそんな経緯をたどった酒の一つだった。スコッチウイスキーは、一〇〇年ほど前まではスコットランドだけで飲まれていた地酒にすぎなかった。当時ヨーロッパ上流社会愛飲されていたのはブランデー。酒といえばすなわちブランデーをさすほどポピュラーなものだったようだ。ブランデーは八世紀頃、錬金術師ワイン蒸留したのがはじまりとされ、一二?一四世紀頃にはイタリアスペイン、南フランスなどヨーロッパ各地錬金術師医者ワイン蒸留し、飲み物としてだけではなく消毒薬などの医療用としても用いられたという記録も残っている。一九世紀中頃フランス長年悩みの種だったブドウのうどんこ病対策としてアメリカから抵抗苗木輸入した。その結果、その苗木についていたフィロキセラブドウネアブラムシ)がヨーロッパ中に蔓延してしまった。ブランデー生産量激減し、その代替品としてそれまであまり飲まれていなかったスコッチウイスキーが、にわかに注目されることになった。ちなみに、ウイスキー起源紀元前にまでさかのぼることができる。その頃アイルランドケルト人穀類の酒を蒸留していたことが伝えられているのだ。現在のウイスキー原型ともいうべきものができたのは、一二世紀頃といわれており、名前由来は「生命の水」を意味するゲール語の「ウシュクベーハー」から転じたのだという。一一一年イングランドプランタジネット朝初代の王、ヘンリー二世アイルランド征服したときに、ウイスキーはその製造法とともにスコットランド伝えられた。それから約一〇〇〇年後、スコッチウイスキーブドウの木につく害虫のおかげで、ようやく「メジャーデビュー」を果たしたのだ。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820070