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ウスターソース
【うすたーそーす】


「ミカドソース」というネーミングだった西洋料理向けのソース

ウスターソースは、開国直後キッコーマン日本初めてつくったといわれるが、このソース商品化しようと動いたのが、ヤマ醤油の七代目浜口儀兵衛である。開国後の日本西洋風の食生活がもたらされたことが、そのきっかけだった。浜口氏は一八八五(明治一八)年、研究のために渡米するが志なかばで客死し、八代目がその遺志を継いだ。そして「ミカソース新味醤油」として販売したが、売れ行き不振でまもなく生産中止になった。しかし、西洋料理徐々に日本人の舌になじんできた明治二〇年代入ると、相次いでこのソース製造されるようになったのである。「三ツ矢ソース」を大阪の布谷徳太郎一八九四(明治二七)年に製造一八九八(明治三一)年には、野村専次が「白玉ソース」を、神戸安井敬七郎が一九〇〇(明治三三)年に「日の出ソース」を製造した。さらに、名古屋では一九〇八(明治四一)年に蟹江一太郎が「カゴメソース」を、関東では一九〇五(明治三八)年後にブルドックソース」を小島仲三が製造販売しており、現在のソース代表する主要メーカーはこの時期登場している。なかには、日本人嗜好合うように自家製ソース輸入ソースに混ぜた商品や、海外から輸入されたソースもあった。しかし、販売当初ウスターソース原料となる香辛料西洋野菜カラメル入手することは困難だった。ソース製造業者が増えたにもかかわらず、である。また、西洋調味料使い方一般家庭にはあまり知られていなかったことから、ソース薬局で扱われていた時期もあり、消費伸び悩んでいた。ようやく洋風料理食生活少しずつ浸透した大正時代には、ソース原料輸入容易になったこともあり、品質向上生産量増加をもたらした。業界では一般家庭消費増加させるために、雑誌新聞広告掲載したり、「子ども用ソース」の開発をおこなったりした。大正時代末期には、西洋料理ポークカツレツから生まれトンカツのためのビタミンソース、つまりトンカツソース生まれた。昭和に入ってからはさらにソース需要伸び続け、今日、みんなに愛される日本の代表的ソースになったのである。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820080