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海水
【かいすい】


海水に真水を混ぜて飲めば、

いざというときは役立つのか?「海水飲むな、うすめて飲んでもいけない」これは、世界定説とされている漂流中の水の飲み方をあらわした言葉である。しかし、斉藤実氏の著書太平洋漂流実験50日』(童心社)によると、非常に興味深い実験がおこなわれていたことがわかった。それは、本当に海水体に害をおよぼすのかという人体実験であり、海水真水を混ぜて飲むことは役に立つか、役に立たないかの究明である。著者によると、私たちの体内の六〇パーセント水分であり、血液全身細胞のなかの体液として生命をいとなんでいる。この体内水分には塩分が含まれているが、その割合はいつも〇・八五?〇・九パーセントになっていなければならない。一方海水塩分を二・七三パーセントも含んでいる。そこで、余分な塩分排出するために大量の水分必要とし、飲めば飲むほど、補給する水分よりも排出する水分量が多くなる。これが、いわゆる脱水症状である。だからこそ海水飲むな、といわれていたのだろう。しかし、「海水一+真水二の混合液」の塩分の量は注射液のリンゲル食塩水)と同じ配分になっている。リンゲル重病人に注射できるものである。だから海水真水でうすめて飲んでも、当然差し支えないという見解をもとに実験はおこなわれたのである。その実験とは、「海水組」、「真水組」、「水割り組」を設定し、それぞれを五日飲用、尿と血液検査ドクターストップがかかるまで飲み続けるというものだ。飲用方法は、海水組は一?三日目までは海水一日三〇〇ミリリットルずつ、四日五日目は真水五〇〇ミリリットルずつを飲む水割り組は、海水一〇〇ミリリットル真水二〇〇ミリリットルを混ぜた混合液計三〇〇ミリリットル五日飲む真水組は、一〇〇〇ミリリットル真水一日二〇〇ミリリットルずつ飲んでいく。「海水飲むな、うすめて飲んでもいけない」の定説正しければ、真水組のドクターストップがいちばん遅いはずだ。しかし、驚くべきことに実験結果定説大きく覆した。一位 水割り二位 海水三位 真水組これが、ドクターストップが遅かった順位である。真水組は三日目、すでに血液中の水分不足し、いちばん先にドクターストップがかかった。次の海水組は害が残った。しかし、水割り組は検査項目にわたって、ほとんど変化はなかったということである。かくして著者見解実証され、世界定説が揺らいだのである。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820146