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クジラ
【くじら】


水深三〇〇〇メートルまで一気に潜っても潜水病にならないメカニズム

スキューバダイビングをしたことがある人ならわかるだろうが、深いところから急激に浮上すると、頭が痛くなったり吐き気がしたりすることがある。これを潜水病といい、血液中の窒素が溶けきれなくなって気泡になり、血液流れ妨げるために起こる現象である。海のなかでは一〇メートル潜るごとにおよそ一気圧ずつ上昇する深く潜れば潜るほど、体にかかる圧力は高くなり、血液溶け込む窒素酸素の量は多くなる。血液中に溶け込んだ酸素は、全身をめぐる間に消費されるが、窒素消費されないまま血液中に残って、浮上の際の水圧低下によって飽和状態になり、ついには気泡化してしまうのだ。ではクジライルカなど海のなかで潜水浮上繰り返す動物はどうして潜水病にならないのだろうか。これにはいくつかの説があるが、現在ではショランダーが提唱した説が最も合理的であるといわれている。クジライルカなどは、潜水時に体に圧力がかかったときに肺胞収縮し、肺胞に入っていた空気気管などに送られる。そして潜水中は呼吸をしないのだ。つまり高圧状態では新しい酸素窒素取り入れないため、浮上時に気泡ができることはないという。クジラは九〇分程度なら水中に潜っていることができる。それだけの時間呼吸せずにいられるのは、血液中で酸素貯蔵する役割を担っているミオグロビン私たち陸上の哺乳動物よりも多く、また潜っている間は必要最小限の器官にしか血液を送っていないメカニズムがあるからである。さらにクジラ潜水スピード速く、たとえばマッコウクジラなら時速一〇キロ以上スピードで急潜水できる。二〇分ほどで水深約三〇〇〇メートルにまで達する計算だ。そのあたりに餌になる魚やイカなどがいるためで、食事終える今度時速キロほどで浮上してくる。




東京書籍
「雑学大全2」
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