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クラーク
【くらーく】


大志を抱いても、必ずしもうまくはいかない?

アメリカ教育家化学者植物生理学者ウィリアムクラークは、一八六七年、創設したばかりのマサチューセッツ農科大学の初代校長就任した。そして、一八七六年、同大学在職のまま一年間の休暇をとり、同大学卒業二人とともに来日し、札幌農学校(現・北海道大学農学部)の教頭となった。八カ月短い滞在期間ではあったが、良心従って行動するキリスト教主義教育をおこない、内村鑑三新渡戸稲造など、日本の宗教教育北海道開拓有用な人材養成した。一八七七年の帰国際して残した「Boys, be ambitious(青年よ、大志を抱け!)」は、名言として名高い。さて、クラーク自身も、晩年まで「青年よ、大志を抱け!」の言葉通り生きたといえるかもしれないが、大志を抱いたからといって、常にうまくいくとは限らない晩年に抱いたクラークの「大志」は失敗続きだった。一八七九年にマサチューセッツ農科大学辞職したクラークは、まず、学生を船に乗せて世界をめぐりながら教育する洋上大学の計画を立てたが、希望者がそれほど集まらなかったため、計画倒れになった。翌年、彼は、ジョンボズウェルとともに「スターグローブ銀鉱会社」を設立したが、銀価格の暴落により、一八二年会社はあえなく倒産した。そのうえ、会社の資本金二万二〇〇〇ドル提供した叔父裁判で争って敗訴し、失意のうちに没したのである。彼は、日本から帰国後まもなくの講演で、カリフォルニアゴールド・ラッシュを「悪銭身につかず」「真面目働く気になれなくなる」と酷評している。それなのに三年後に自ら銀鉱山開発に手を染めたのだ。まさに「悪銭身につかず」の彼の晩年であった。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820255