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広告チラシ①
【こうこくちらし】


住宅のチラシに隠された心理トリック

新聞を取っている人ならわかるだろうが、入ってこない日はないというくらい、常に地域の住宅のチラシが折り込まれている。単独ポスティング広告直接誰かポスト入れていく広告)でも、住宅のチラシが最も多いのではないだろうか。この住宅チラシ、数も多いとあって、各社間の競争激しく、なかには詐欺とはいわないまでも、購買意欲をそそるためのトリックが隠されているので注意する越したことはない。まず、新築マンションの「完売」「完売御礼」。完売したのになぜ広告出すのか疑問思えるが、実際にはすべての物件完売したわけではない。よく見ると「第一」とか「第三」と期間が書いてあり、その期間販売する戸数が売れたということなのだ。たとえば新築マンションで総戸数一二〇ならば、四期に分けて三〇戸ずつ販売し、まず三〇が売れると「完売御礼」のチラシを出すというしくみである。なぜ「完売」のチラシを出すのかというと、その物件がよく売れる物件であることを宣伝し、なおかつ「早くしないと売れてしまいますよ」、さらにはすでに購入した人にも「あなたの判断間違っていませんよ」と思わせる二重三重効果を狙っているのである。実際には、よほどの都心人気物件などでない限り、そんなに簡単に完売しないだろう。事実販売会社は、販売開始から一カ月で約七〇パーセント申し込み目標に掲げている場合多いのだ。そして次によくあるのは、「○○小学校、××中学校まで徒歩五分スーパー公園至近バス最寄りの駅まで一〇分、バス停徒歩二分東京まで急行二分の好立地ローン月々八万円から」などというチラシ。これならよさそうな物件だなと思えるが、実際にバス本数が二〇分に一本ぐらいだったり、学校公園近いのはいいが、それより近くに夜間営業遊戯店や騒音のある工場建っているなどということもある。つまり、住宅のチラシには広告主にとって都合のいい「その物件の長所」が中心だということだ。実際にはどの物件にも短所はあり、むしろ長所よりも短所ガマンできるかどうかがその物件が自分合うか合わないかのカギなのだが、そんなことは親切にチラシには書いてはくれない。その義務もないのだ。住宅チラシの見所は、実はそのチラシに載っていない「真実」をどれだけ見抜けるか、ということなのかもしれない。




東京書籍
「雑学大全2」
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