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子持ち昆布
【こもちこんぶ】


子持ち昆布のツブツブは何?

おせち料理で、数の子同様欠かせない一品となっているのが、子持ち昆布である。ご存知通り、「子だくさん」「家族繁栄」の意味持ち縁起のよい食べ物として知られている。その子持ち昆布にびっしりとくっついているツブツブは、昆布の「子ども」なのだろうか。海藻卵を産むのだろうか。そんなはずはない。実は子持ち昆布の子とは、ニシンの卵である。ニシン昆布にびっしりと数の子を産みつけ、それが子持ち昆布になるのである。本来魚の卵には、水面に浮いて漂う「浮性卵」、海底に沈んでゆく「沈性卵」、粘って海藻などに付着する「粘性卵」の三種類があるが、ニシンの卵は粘性卵で、海中昆布ホンダワラ付着し、孵化するまでの時間を過ごす。いわば昆布ニシン育てる重要な役割を果たしているのである。したがって、ある意味昆布ニシンの子どもたちの立派な親といえる。かつて北海道ではニシン大漁に獲れ、北前船によって昆布ニシン関西地区に運ばれていった。しかし、昭和中期になってから、ニシン漁獲高激減し、この子持ち昆布生産されることがなくなっていった。現在は産卵のため押し寄せてきたニシンを生いけ簀すに追い込み、そこに昆布をたらしてニシン卵を付着させたものが多く販売されている。




東京書籍
「雑学大全2」
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