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東福寺
【とうふくじ】


禅宗では用を足すのも修行のうち

京都にある寺院といえば、国宝重要文化財宝庫である。そのなかにトイレ重要文化財があるのはご存知だろうか。そのトイレ京都東福寺にある。「東司」といって、一重切妻造で本瓦葺建造物だ。化粧屋根裏、鏡天井、正背面切妻飾り建物の中心となる部分二重虹大瓶束となっており、日本の伝統的な寺院建築様式に則っている。トイレ形式中国式で、広い部屋のなかに五〇から六〇の壺が掘ってあり、足場の板を二枚ずつ渡してある。東福寺禅寺で、僧侶長時間座禅をおこなうため、決まった時間にしかトイレに行けなかった。好き勝手用便をすることが禁じられていたのである。そこで座禅をする前に禅僧全員で用を足す必要があったというわけだ。また、正面に仏像が祀ってあるところを見ると、用を足すのも修行一つとして考えられており、東司行くにも厳しい作法定められていたことがわかる。曹洞宗では、東司は、僧堂浴室とともに三黙道場一つとなっている。鎌倉時代曹洞宗開祖道元一二〇〇?五三)はこのトイレ作法こそが仏々祖々が伝えてきた威儀であり、作法従ってトイレをおこなうことも、重要な修行であるとしている。ところで、なぜトイレが「東司」といわれていたのかには、伽藍東側にあったからという説がある。禅寺仏殿、法堂において座位東方にある役僧用いるトイレを「東司」、西方にある役僧用いるのを「西浄」と称し、後に統一したというが、推測の域を出ていない。しかし、道元が「寺舎に居してよりこのかたは、その屋(トイレ施設)を起立せり、これを東司と称す」と書き残しており、鎌倉時代には、すでに「東司」で統一されていることが確認できる。




東京書籍
「雑学大全2」
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