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煮込色
【にこみいろ】


煮込んだ色とはどんな色?

ダシと醤油でコトコトと煮込んだ煮物といえば家庭の味の一つ。その煮汁にひたしたような色は「煮込色」と称される。もとは染色業者用語だったそうだ。「煮込色」と聞いて想像するのは、醤油香りがしそうな濃いめ赤茶色ではないだろうか。だが、染色業者の間では、赤茶色に限らず、どんな色でも濃い目の色は「煮込色」と呼んだそうだ。煮込色仕上げるためには、黒系の色で下染めをしっかりとする必要があった。この下染め醤油味のだし汁やつけ汁である「下地」に見立て煮物イメージして煮込色と呼んだのではないかといわれている。こうした色と味の関係性は、現代の日本語にも残っている。たとえば「黄味がかった緑色」といった場合黄色という味がややついた緑色というように解釈でき、色のつき加減味のつき加減にたとえたものと考えられる。一方日本語色名英語フランス語のそれに比べて、飲食物に由来しているものが少ないともいわれる。たとえば果実由来する日本語色名オレンジ色系の「柑子色」「蜜柑色」「柿色」といったくらいだが、ヨーロッパの言語では「チェリー」「ストロベリー」などジャム材料になる果実の多くはそのまま色名になっている。嗜好品であるアルコール類をみてみると、日本酒焼酎由来する色名はまったくないといってもいいが、一方で英語フランス語では「ワイン」「コニャック」という色が存在し、さらに同じワインでも細かくボルドー」や「ブルゴーニュ」と産地ごとの色名があったりするほどだ。




東京書籍
「雑学大全2」
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