100辞書・辞典一括検索

JLogos

29

ビール瓶
【びーるびん】


一本の容量六三三ミリリットルという半端な数字の意外な秘密

店頭で、ビールを瓶で買うのと缶で買うのとどっちが安いのだろうと迷うことがあるが、手元電卓でもないと計算するのが面倒になって、「まっいいか」となってしまいがちだ。その理由は、大瓶容量が六三三ミリリットルで、なんとも中途半端な数だからである。中瓶は五〇〇ミリリットルなので切りがいいのだが、どうしてこういうことになったのだろう。その理由は、明治初期までさかのぼる。その頃日本飲まれるようになったビールは、イギリスなど外国からの輸入品だ。輸入先の国それぞれで単位違うし、大瓶容量統一されず、そのままになっていた。その後昭和初期になって国産ビールがつくられるようになるが、そのとき、ビール瓶各社それぞれ輸入ビール真似てつくったので、大きさ違うビール瓶で売られたのだ。ところが、第二世界大戦中、戦費調達のためにビール課税されるようになった。このとき、大瓶内容量を共通にさせないと、会社によって一本当たり税金も違ってしまうので徴収複雑になってしまう。そこで、政府が大瓶容量規格統一することに決めたのだ。さっそく各社から集めた瓶の容量比べたところ、最も大きな瓶の内容量は六四三ミリリットルで、最も小さい瓶の内容量が六三三ミリリットルであった。そこで、容量少ない六三三ミリリットルの瓶を規格にすれば、それより容量大きい瓶も使えるということになった。つまり、瓶をつくり直すにはコストがかかりすぎるため、必然的少ないほうの瓶の容量大瓶規格とすることになったというわけである。その名誉ある大瓶規格の主は、大日本麦酒株式会社現在は分割されアサヒビールサッポロホールディングス)。目黒工場でつくっていたものだそうだ。ちなみの小瓶の三三四ミリリットルも、大瓶同じ理由最も小さい容量の瓶に合わせたために、中途半端な数字になってしまった。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820733