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福岡市
【ふくおかし】


市名が「福岡」になった引き替えに、駅名は「博多」に

福岡県県庁所在地福岡市。ところがJR駅名博多駅である。県名と県庁所在地名が異なる例は珍しくないが、中心駅の名称違うというのは異例だ。さらに福岡市住民、あるいは出身である人が、そのことを誇りにして自分を語るときも「博多っ子」という場合多い商売成功した人は、自らを「博多商人」と称する。このような関係生まれたのは、この町の過去の成り立ち由来する博多というのは、港に面したこの町の古代から地名だ。それが、江戸時代黒田家の領地となって福岡藩が置かれた。「福岡」は黒田氏出身地備前の国くに(現・岡山県福岡村にちなむ名前で、町は福岡城の城下町となったのである。それ以来、町を流れる那珂川を境に、東側中世以来商人の町「博多」、西側武士の町「福岡」と呼んできた。しかし、時代を経て、明治新政府の廃藩置県続く市制施行のとき、博多地区福岡地区をまとめて一つの市にすることを決めた。市民となる博多地区の人と福岡地区の人は、それぞれに自分たちの地区の名の採用希望して収拾がつかない。どちらも、中世以来商人伝統、もと藩主ゆかりの由緒正しさを主張して譲らない。結局、県名に合わせて市名は福岡決まったが、駅名博多とすることで双方折り合ったのである。それから一〇〇年以上年月流れた。両方の名を比較すると、地名として変えようのなかった博多湾をはじめ、博多人形博多織といった特産品博多ラーメン博多水炊き博多明太子などの名物博多山笠博多どんたくといった祭りまで、由緒より伝統のほうに分がある。名を捨てて実を取った博多商人面目躍如だろう。




東京書籍
「雑学大全2」
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