100辞書・辞典一括検索

JLogos

8

ベートーベン
【べーとーべん】


難聴のベートーベンが使った「会話帳」

作曲家であるのに、晩年聴力をほぼ失った悲劇的な宿命ベートーベン。その悲劇的な宿命映画などの題材としてもしばしば使われるが、その理由一つに、晩年彼のおこないが、かなりはっきりと伝記として残っているからということもある。実は伝記が残っている理由も、彼の悲しい宿命由来する多くの歴史上の人物について、伝記作家などは、あらゆる歴史書近隣人々の証言を元に、多くのことを想像創作で埋めていかなければならないのだが、ベートーベン場合は、彼が晩年に耳が聞こえなくなってしまったために、筆談という形で実際に語られた言葉(書かれた言葉)が残っているのだ。ベートーベンは、ほぼ音が聞こえなくなった一八一八以降、彼に接する人の多く筆談コミュニケーションをとっていた。これが「会話帳」であり、ほぼ縦一八センチ×横一二センチノートブック状のものである。何百冊にもなるが、ベートーベン伝記資料としてだけでなく、この一八二〇年代ウィーン日常生活調査などに関しても、かなり貴重な記録という意味持っている。ただ、残念なことといえば、ベートーベン言葉話すことはできたため、会話帳の中身はほとんどが話し相手記述ばかりで、ベートーベンがその問いかけに対してどう答えたのかは、推測の域を出ないことである。しかし、ベートーベンは、この会話帳を手帳代わりにも使っていたと思われ、買い物リスト登場したり、計算書簡下書き、そのほかの記録なども書かれている。また、この会話帳を悪用した人物もいた。ベートーベン親密だったとされるシンドラーは、自分ベートーベン関係において、自分有利な部分だけを残して、不利益であろう部分削除したり、あたかもそうであったかのように事実無根のことを書き込んだりもしている。しかし現在では、科学技術のおかげで、このシンドラー書き込みが後から加えらたものとして判別がつくようになり、偽造された歴史はきっちり白紙に戻されている。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820788