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JLogos

28

ユダ
【ゆだ】


ユダがイエスを裏切ったのはウソ!?

裏切り者の代名詞のように使われるユダ実は彼はイエス・キリストを裏切ってはいなかった。自己犠牲にしてまでも師の心に従った、最も誠実な弟子のなかの弟子たる人物だった可能性がでてきたのだ。二〇〇六(平成一八)年、アメリカ科学教育団体ナショナルオグラフィック協会」が、いまから約一七〇〇年前、三?四世紀に書かれた『ユダ福音書』の写本解読した。これによると、「真の私を包むこの肉体犠牲とすることによって、お前はすべての弟子たちを超える存在になる」とイエスユダ伝え身柄官憲引き渡すよう指示したとされている。つまりユダは、師であるイエスを裏切ったのではなく、師の指示忠実に実行したということになる。また、そうした過酷な指示を与えられたのは、イエス弟子たちのなかでいちばん信頼していたのがユダで、彼はイエスの教え正しく理解していた唯一の人物だったからであるという内容も記されていたという。この文書は、一九七〇年代エジプト発見された。それ以前にもその存在自体は知られていたが、この縦約二九センチ、横約一六センチパピルス文書が、世界初めて日の目をみた『ユダ福音書』である。現在新約聖書に収められているのはマタイマルコルカヨハネという四人弟子福音書だが、ほかにもマリアトマスペテロなど数十種類福音書存在していたと考えられている。しかしそれらは黎明期キリスト教会から異端福音書として扱われ、新約聖書編纂の際に採用されることはなく、キリスト教史から抹消されてしまったのである。『ユダ福音書』には、イエスの笑う場面登場する。現代の福音書比べて、そうしたイエスの親しみやすい一面、いわば人間的な面が多く描かれているという。同福音書は、ユダに与えられた裏切り者という不名誉な称号をとりはらうだけでなく、イエスの新しい一面も見せてくれるものかもしれない。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820926