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WTO


World Trade Organization

 ガットの多角的交渉として1994年に終結したウルグアイ・ラウンドで合意され、各国の批准を経て95年1月に発足した、貿易に関する国際機関。WTO体制の大きな特徴として、(1)モノの貿易ルールだけでなく、サービス貿易知的財産権などの広範な分野における国際的ルールの確立、(2)農業分野における関税化、輸出補助金の削減などの自由化の促進、(3)紛争解決手続きの大幅な強化、などが挙げられる。また、アンチダンピング協定に関しても、その恣意的運用を避ける方向を打ち出した。さらに、セーフガードの発動などの規定がより現実的になり、輸出自主規制などの灰色措置が禁止された。このように、WTO合意は包括的かつ画期的なものであり、95年以降、新たなルール国際貿易に適用されたと評価することができる。2005年12月のサウジアラビア加盟により、06年7月現在、149の国・地域がメンバーである。また01年11月、ドーハ(カタール)での第4回WTO閣僚会議で新たな多角的貿易交渉(ドーハラウンド)を開始する宣言が採択され、02年2月1日の貿易交渉委員会ドーハラウンドスタートした。当初、交渉期間は3年間、05年1月1日までの終了を目標としていた。交渉対象はウルグアイ・ラウンドで既決であった農業とサービス加えて、非農産品(鉱工業品と林水産品)市場アクセスルール(アンチダンピング協定、補助金協定、地域貿易協定)、TRIPS協定、貿易と環境紛争解決了解の改正、貿易と発展、の8分野。ドーハラウンドを巡る状況は、中国のWTO加盟、農業問題での対立、増加するアンチダンピングセーフガードの発動、FTA(自由貿易協定)の増加傾向など、諸問題が目白押しであり、06年中の交渉終結が目指されていた。しかし、交渉の溝が埋まらず06年7月下旬に全体交渉は凍結となった。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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