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チベット仏教


Tibetan Buddhism

 チベット仏教は、7世紀にインドから伝えられた密教的な要素が強い仏教と、土着の宗教であるボン教とが結びついて展開したものである。ラマ(師匠)を崇敬し、師弟関係を通じて教えが伝えられることから、ラマ教呼ばれることもある。現在、ゲルク派、カギュ派、サキャ派、ニンマ派の四大宗派がある。ダライ・ラマはゲルク派の最高位で、同時にチベット仏教の最高位にある。第2位にあたるのがパンチェン・ラマである。両者は共に転生霊童(生まれ変わり)の活仏として崇拝され、どちらか一方が死亡した場合、もう一方がその転生者を認定する。1989年1月、パンチェン・ラマ10世が死去し、95年5月、ダライ・ラマ14世はゲドゥン・チョエキ・ニーマ少年(当時6歳)を転生霊童として認定。それに対して、同年11月、中国政府はギャインツァイン・ノルブ少年(当時6歳)を選び、2人のパンチェン・ラマが並立することになった。また、2000年1月5日には、カギュ派の最高位にあるカルマパ17世(当時14歳)が厳寒のヒマラヤを越え、インドチベット亡命政府にたどりつき、事実上の亡命状態にある。チベット仏教における後継者問題は、国際問題として今後も注目される。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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