100辞書・辞典一括検索

JLogos

21

ヒンドゥー教


Hinduism

 紀元前1500年頃に北インドに進入したアーリア人の宗教が、先住民族の様々な宗教の要素を吸収しながら発展した宗教。「ヒンドゥー」とはもともとインダス川やその流域を表すペルシャ語で、のちに「インドの人々」を指すようになった。ヒンドゥー教には、創始者も共通の明確な教義や儀礼も存在せず、地域や階層によってその内容は異なるヒンドゥー教の原型は、アーリア人の司祭(バラモン)の儀式と『ヴェーダ』(神々への賛歌)を中心とするバラモン教(ヴェーダの宗教)と呼ばれるものである。そして、仏教やジャイナ教が都市部を中心に勢力を拡大し始めた紀元前4世紀ころ、バラモン教の勢力巻き返し策の結果としてヒンドゥー教が成立する。バラモンたちは、カースト制度の基本となるバラモン(司祭階層)、クシャトリヤ(王侯・戦士階層)、バイシャ(農耕民・商人階層)、シュードラ(隷民階層)によって社会が構成されると考えていた。しかし、クシャトリヤバイシャの信者を仏教やジャイナ教に奪われ始めたことをきっかけに、それまで社会の構成員とは認めていなかった様々な先住民族を次々と認め、彼らの宗教の要素をバラモン教取り入れる戦略を採った。そこにヒンドゥー教が成立することになる。ヒンドゥー教では、森羅万象を崇拝の対象にしてきた。その中には日本に伝わった神々もあり、七福神大黒天弁財天毘沙門天などはその例である。ヒンドゥー教の神々の中で、最も崇拝されているのはビシュヌ神とシバ神で、それぞれを最高神とするビシュヌ派とシバ派に大きく分かれるビシュヌは10の化身をもつというが、仏教の開祖釈迦もその1つに数えられている。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
JLogosID : 14849500