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マインド・コントロール


mind control

 洗脳という言葉は、1950年代、朝鮮戦争中に米国人捕虜たちが共産主義者から受けたとされる尋問や教化の方法を指して、米国のジャーナリストエドワードハンターが作った言葉。「脳を洗う」という意味にとれる中国語から英語に直訳し、ブレイン・ウオッシングとした。洗脳は、長時間にわたる身体的拘束や拷問、薬物の投与などにより、個人の精神構造(信念やアイデンティティー)を強制的変えるものである。これに対してマインド・コントロールは、物理的・身体的に強制的な方法を用いずに、本人にもまた周囲の人々にも、それとは気づかれないうちに個人の精神構造に影響力及ぼすような、洗練された社会心理学テクニックである。しかし、マインド・コントロールという言葉は心理学の用語としては認められておらず、カルト暗黙のうちに使っているテクニックをそう呼ぶようになった。日本では90年代半ばから一般に普及し、様々な場面で拡大解釈されて使われるようになった。そこで、個人の自主性を著しく阻害し、心身の不調、人間関係の崩壊や犯罪行為への加担など、本人が望まないような結果を生じさせる心理的操作として、マインド・コントロール限定的にとらえていく必要がある。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
JLogosID : 14849506