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ブドウ球菌感染症(食中毒・感染性心内膜炎・MRSA等)
【ぶどうきゅうきんかんせんしょう(しょくちゅうどく・かんせんせいし】


Staphylococcal Infection

 ブドウ球菌(staphylococcus)はグラム陽性球菌で、毒力の強い黄色ブドウ球菌と毒力の弱いコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)があります。両者とも自然界に広く分布し、水や土壌中はもとよりヒトや動物の常在菌として、また起炎菌として分離できます。CNSでは、表皮ブドウ球菌と腐敗性ブドウ球菌(s. saprophyticus)が重要です。黄色ブドウ球菌(以下、黄ブ菌)は、ヒトの体表では鼻前庭(びぜんてい)、会陰部、鼠径(そけい)部、腋(わき)の下、臍(さい)部に常在し、その侵入により化膿性皮膚疾患(膿痂疹〈のうかしん〉、せつ、蜂窩炎〈ほうかえん〉など)、中耳炎、副鼻腔炎、肺炎、腸炎、さらには敗血症へ進展すると転移性膿瘍(のうよう)や感染性心内膜炎を引き起こします。また、黄ブ菌は種々の毒素を産生して、ブドウ球菌性胃腸炎、中毒性ショック症候群ブドウ球菌性熱傷様症候群などを発症させます。黄ブ菌に罹患(りかん)しやすい症例として、未熟児、授乳中の母親、免疫不全患者、広範囲の熱傷、手術創、血管カテーテル留置個所、糖尿病患者、慢性呼吸器疾患などがあげられます。黄ブ菌での今日の問題点はメチシリン耐性黄ブ菌(MRSA)です。CNSについても毒力は弱いが記憶にとどめておく必要があります。




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「標準治療(寺下医学事務所)」
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