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ヘルペス(単純ヘルペス、水ぼうそう〈水痘〉、帯状疱疹)
【へるぺす(たんじゅんへるぺす、みずぼうそう〈すいとう〉、たいじょ】


Herpes

 ヘルペスウイルスは実は8種類あるのですが、ここでは様々なヘルペスウイルス感染症のうち、単純ヘルペス(herpes simplex)、水ぼうそう(水痘〈すいとう〉=varicella)、帯状疱疹(herpes zoster)について述べます。すべてのヘルペスウイルスに共通した特徴はそのしつこさです。体の中にいったん入りこんだら、症状が治まったあともずっと体内に居座ることが大きな特徴です。

1)単純ヘルペス
 単純ヘルペスは、口唇(こうしん)ヘルペスと陰部ヘルペスおよびそれ以外に分けられます。口唇ヘルペスの多くは単純ヘルペスウイルスI型で生じ、陰部ヘルペスの多くは単純ヘルペスウイルスII型で生じます。初めて単純ヘルペスウイルスが感染する時(初感染)には強い症状がでる場合と症状なしに入りこむ場合(不顕性感染)があります。粘膜・皮膚が直接接触することでうつります(接触感染)。したがって、陰部ヘルペスは性感染症として扱われます。いったんウイルスが入りこむと症状が治まった後も、口囲や陰部の神経細胞にウイルスは残るため、局所の免疫力が低下した時(かぜをひいたり、紫外線にあたった時)に再発を繰り返します(再発性単純ヘルペス)。再発時の症状は概して、初感染時よりも軽いのが普通です。
 アトピー性皮膚炎が基礎にあるために、単純ヘルペスウイルスが皮膚から直接入りやすくなって起こる(経皮感染)症状が、カポジ水痘様発疹症です。口唇ヘルペスがあるお母さんがアトピー性皮膚炎の赤ちゃんに頬ずりをしてうつったりします。

2)水ぼうそう、帯状疱疹
 水ぼうそう(水痘)と帯状疱疹は同じウイルスが原因です。このウイルスを水痘・帯状疱疹ウイルスといいます。水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染が水ぼうそうで、多くは子どもの時に経験します。水ぼうそうの患者さんの咳しぶきなどを吸い込むことで感染します(飛沫感染)。水ぼうそうが治ったあともこのウイルスは知覚神経の根元(神経節)に居座り、大人になってたまたま免疫力が低下した時に神経節から神経を伝って皮膚にでてきます。いわば局所で水ぼうそうの再発が起こった状態ですが、この再発を帯状疱疹といいます。一定の神経支配領域、すなわち、片側だけに帯状に症状が現れるため、帯状疱疹と呼ばれます。




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「標準治療(寺下医学事務所)」
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