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高松寺
【こうしょうじ】


鎌倉市西御門にあった寺。日蓮宗。山号は寿延山。「鎌倉志」所載の寛文11年高松寺鐘銘は,水野忠元の妻高松院日仙の創建とするが,「新編相模」は高松院の没した翌寛永19年8月,子の水野重良が追福のために創建したとある。徳川家康の側室養珠院の助けで,源頼朝創建の伝承がある太平尼寺の旧跡に尼寺を建立,開山を重良の娘日隆とした(新編相模・本化別頭仏祖統記/日蓮宗全書)。寛文3年8月の「高松寺守護棟札」(鎌倉妙本寺蔵)の裏書にも「比丘尼所寿延山高松寺」とみえる。2世住持は日隆の俗妹日祐であるが,3世日宗以降は男僧が住持となる(新編相模)。身延山久遠寺の触下支配本寺(法華宗甲州身延久遠寺触下本末帳/本末帳集成)で,1貫100文の朱印高を有し(安政二年八月朱印寺社高反別・除地寺院書上/県史資8下),江戸期には女人済度の寺として栄えた。しかし,末寺をもたず無檀であったため堂宇の維持が困難となり次第に廃滅。関東大震災で全壊(鎌倉震災誌)。昭和の初め寺基を宮城県栗原郡若柳町の教会所に移転し現在に至る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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