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王滝川
【おうたきがわ】


県南西部を流れる1級河川。流長53.846km。御嶽山の西麓から南麓を東流し,木曽郡木曽福島町で木曽川に合流する。大小20の支流をもち,県内の木曽川流域では最大の支流。流域一帯のうち,御嶽南斜面には国有林が多く,支流の白川・鯎(うぐい)川・瀬戸川流域には戦前まで伊勢神宮造営材となった木曽檜の代表的美林がある。御嶽山麓一帯の年降水量は2,500~3,000mmに達し,王滝川は水力発電用と産業生活用水として重要なものになっている。上流から三浦(みうれ)・王滝川・牧尾・大島・木曽の5ダムが造築され,三浦・牧尾・木曽ダムには発電所が建設されているほか,これらの水は下流の発電所の出力を高めている。また牧尾ダムは愛知県名古屋市から知多半島までの上水・工業・農業用水を供給するという重要な機能をもっている。昭和18年に建設された最上流の三浦湖は,周辺をヒノキの森林に囲まれ,人家もレジャー施設も全くない秘境で,一般の人々がこの秘境に入るには岐阜県側の下呂町からしか車道がない。上流一帯には,イワナやヤマメが豊富にいる。交通路としては,戦国末期より王滝川流域は岐阜県下呂より鞍掛峠越えで開発され,順次下流に及んだ。近世後期は王滝川沿いに入山し,現在も観光道路は川に沿っている。昭和59年の長野県西部地震で,水系の名所の一つである濁川温泉は流失した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7099531