綾里輪中
【あやさとわじゅう】

大垣市西部にある輪中。西側で大谷川と相川が合流し，東側を杭瀬(くいぜ)川が南流する。北側は静里輪中と接し，南側は杭瀬川・相川・色目川が合流する遊水地となっており，広大な桑園が見られる。桑木は現在放置されたままで喬木となっている。綾里輪中は明治２年にできた十六輪中や同８年完成の静里輪中より古く，同14年十六輪中の堤防修築の際には綾里輪中堤より３尺２寸４分堤防を低くする約定を結んだ。昭和27年それまで堤防がなく遊水地的機能を果たしていたこの輪中の西岸の，大谷川右岸堤が築堤されることになると，この輪中は静里輪中とともに猛然と反対し，その結果妥協的解決策として新築堤にコンクリートの溢流堤が設けられた。綾里輪中は下塩田・綾野・野口の諸集落から成っていたが，輪中内には下塩田だけを囲む小堤や綾野と野口を南北に分かつ除(よげ)があった。古い輪中なので大谷川などの堤防が幾度も決壊しており，その結果，数多くの落堀が以前には残っていた。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7104324