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糸貫川
【いとぬきがわ】


県南西部を南東に流れる川。本巣郡本巣町大字山口から北方町の西を通って,穂積町で長良(ながら)川に合流する。延長約15km(河川法区域延長約15km)。川名は,平安期安和2年関白藤原実頼の年賀の宴会に歌われた催馬楽に「席田の伊津貫川」に鶴が舞い遊ぶ様子を記し,「枕草子」第62段にも「河は飛鳥川……いつぬき川,沢田川などは催馬楽などの思はするなるべし」とある(ふるさと糸貫の歴史)ように古くから知られた川である。根尾(ねお)川の下流であったが,享禄3年の大洪水で新しく藪(やぶ)川(現根尾川)ができてから水量が減り,扇状地中央部ではしばしば水無川の状態を呈していた。そのため昭和25年には山口で締め切り,糸貫川は廃川となったが,雨水・生活用水・工場廃水などの処置が必要となり,川幅の狭い近代的な糸貫川に生まれ変わった。扇央部にあたる広い旧河川敷は,都市的土地利用への進行が早くから行われ,糸貫中学校・岐阜高専・岐阜第一高校・都築紡績工場・明治製菓工場・三興紡績工場などの学校・工場をはじめ,宅地化も進行して急激な変貌を遂げている。また北方町高尾より下流にはよく発達した自然堤防があり,その左岸には高尾・馬場・生津(なまづ),右岸には本田・兄越などの集落が列状に集中して立地する。広い旧河道と自然堤防帯が今も明瞭に観察されて古い根尾川本流であった時代の糸貫川を思い起こさせる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7104510