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喜多輪中
【きたわじゅう】


養老郡養老町北部,泥川・相川・杭瀬(くいぜ)川・牧田(まきだ)川に囲まれた地域を指す。室原(むろはら)輪中・蛇持(じやもち)輪中・祖父江(そぶえ)輪中・江月(えつき)輪中・飯積輪中・大墳(おおつか)輪中の小輪中が含まれる。大正7年設立。設立の経緯は牧田川に関連した諸工事につき当時対岸の多芸(たぎ)輪中と対立があり,特に多芸輪中が五日市堤に水利を造る計画があり,これに対抗するために,喜多輪中水害予防組合が作られた。これに参加したのは当時の行政区域である日吉・多芸・小畑の3村のほか,合原村室原と高田町字縄之内で面積は約765haに及び(養老町史通史編下),上記の諸輪中が関係していることになる。しかし,ここに注意すべきは上記の諸輪中と喜多輪中との関連である。両者の関連は一見,大垣輪中とそれに所属するいくつかの内郭輪中の関係のようにみえる。しかし,喜多輪中は大垣輪中のような複合輪中とは機能上異なるものと判断される。それは,喜多輪中の場合は,それまでにそれが関連するいくつかの輪中がより早く成立しており,その後に遅れて喜多輪中が形成されただけでなく,何よりも大きな差異は喜多輪中が上記諸輪中を包む外郭輪中としてその外郭のすべての堤防の保全などを図るものではなく,ただ牧田川の,しかも対岸多芸輪中に対抗する手段としての治水組織としてのみ機能した点にある。いわば,喜多輪中はそれを成立・支持している関連諸輪中の連合体であって,それを支持する諸輪中の独立性は大垣輪中の場合などよりは著しく強いといえる。別項で述べる瀬田水害予防組合とこの喜多輪中とが共に複合輪中としての様相をもちつつ,しかも両者の関係地域が一部は重複し,一部は異なる点もこの意味で理解できる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7105782