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下笠輪中
【しもがさわじゅう】


養老郡養老町東部にある多芸(たぎ)輪中の内郭輪中。北側を金草川や牧田(まきだ)川が東流し,東側を杭瀬(くいぜ)川・揖斐(いび)川が南流している。西は岩道輪中・飯ノ木(はんのき)輪中と,南は大場新田輪中・根古地(ねこじ)輪中・有尾輪中とに接する。堤内には栗笠・船附・上之郷・構・三屋・下笠・江ノ橋・大野の各集落がある。この輪中は全体としては北高南低であるが,輪中の西・北・東が扇状地末端であったり,自然堤防のため高いので,集落は輪中の西・北・東の堤防に沿って集村状に分布する。この輪中がいつ成立したかは明らかではないが,この輪中の西側の堤防(中堤と古文書にいう)がいつできたかについて,この堤防よりの上之郷村は慶安2年の検地の時,水除小土手としてあったと主張している。寛文11年下笠輪中の悪水をよりよく排除するため,根古地輪中・釜段輪中・小坪輪中の境界や下池のうちの600間余の排水路を経由して江下げし,小坪にある閘門から悪水を津屋川へ放流した。輪中内の悪水の量を少なくするため,湧出する井戸の数を制限する株井戸制がこの輪中にもあったが,天保11年井戸の数を制限するように下郷の村に約束した時,上之郷村には掘抜井戸は27株あり,慶応元年には上之郷村は同じく27株・大野村2株・船附村17株・栗笠村32株があった。ところが,このうち11株は無株背き井戸(無届で約束違反の井戸)であったということで,これらの村は低位部にある釜之段(かまのだん)・駒野新田・小坪新田の村々に詫状を差入れるとともに,これらの井戸を埋め込んでいる(養老町史史料編下)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7106430