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水門川
【すいもんがわ】


大垣市笠縫(かさぬい)町地内に発し,大垣市街地を屈曲しながら南流し,大垣輪中を出て安八(あんぱち)郡輪之内町塩喰(しおばみ)地内で牧田(まきだ)川に注ぐ川。延長約15km。大垣城の外濠をも兼ねていた。永禄4年大垣城主氏家直元が,斎藤竜興の命により城池改築の際に開削したと伝えられる(新修大垣市史)。大垣市北部地域は揖斐(いび)川扇状地の扇端部に位置するため,ガマと呼ばれる湧水が豊富で,水門川はその排水路の機能を果たしていた。ところが揖斐川出水の際は逆水が大垣へ浸入するので,寛永13年川口・外淵(そぶつ)両村界に小さな樋門を造った。水門川の名はこれに由来する。樋門は30年ごとに改造することとし,大垣藩士2人を水門番人とした。また,流れが緩やかであることから舟運にも大いに利用され,江戸期には大垣に集散する貨物はほとんどこの水運により,市内の水門川に臨む船町港は桑名(くわな)方面と連絡する河港として栄えた。船町には問屋や倉庫が並んで利用者も多く,俳人松尾芭蕉が「奥の細道」結びの場所とし,船でここから桑名へ下ったことは有名である。しかし,明治以後の鉄道,自動車交通の発達により,この舟運は衰退し,今は河岸に住吉灯台が残って河港の名残をとどめているにすぎない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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