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正木輪中
【まさきわじゅう】


羽島市北東部にある輪中。江戸期には曲利・蜂尻・大浦・須賀・新井・三ツ柳・不破一色・坂丸・森・南及・狐穴・飯柄・駒塚・光法寺の諸村が含まれていた。面積663町歩。東は木曽川,南西部は逆川,北西部は旧木曽川の分流足近川に囲まれていた。この輪中を駒塚輪中と宝暦治水工事当時の絵図に記すものもある。逆川は天正14年の木曽川の大洪水の結果できたものであるから,正木輪中はそれ以後,この形態をとったものとみるべきである。この輪中が他の古い輪中に比較してみられる特性は水田に対する畑地の比率が高いこと(例,昭和4年正木村の畑地率48.4%)と,他の輪中集落が輪中堤に沿って分布するのに,この輪中では輪中内にかなり等密度で集村が分布していることである。これはこの輪中内に1,2の古河道が通っていること,および破堤時などに堤内に多量の土砂が木曽川水系から搬入されたためと考えられる。かくて,この輪中内からは畑地を利用して蔬菜・果物の生産がみられる。現在,輪中堤は木曽川沿いには増強された堤防があるが,ほかの側の堤防はほとんどその昔の姿を留めていない。昭和32年この輪中と西隣の足近輪中の両輪中水害予防組合は合同して羽島中部水害予防組合を結成した。以前はしばしば対立関係にもあった隣接輪中が合併することは画期的なことであり,時代の推移を感じさせる。しかし,この合併した組合も5年後の同37年には解散し,水防事業は市の水防団の手にゆだねられることとなった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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